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旅の写真集  キプロス共和国(後編)HEADLINE

キプロス観光の旅行記を兼ねた写真集(後編)です。ここでは、町全体が世界遺産に登録されている西部海岸沿いの町パフォスと、島の中央部の山岳地帯に点在するトロードス地方の町をご紹介します。

《パフォス》

キプロスの南西端に位置する Pafos は、国内屈指のリゾート地であるとともに町の内外に点在する遺跡群が世界遺産に登録されていて、キプロスを訪れる旅行者にとっては非常に重要な観光地です。
《パフォス考古学遺跡 ①》【世界遺産】

その中でも市街地中心部のすぐ西にある Pafos Archaeological Site は歴史やギリシャ神話に興味がある人にとっては垂涎の的です。
《パフォス考古学遺跡 ②》【世界遺産】

ここは、紀元前2世紀から紀元後4世紀のローマ帝国の時代にはキプロスの首府だった町で、公園のように整備された敷地内からは様々な遺跡が発掘されています。
《パフォス考古学遺跡 ③》【世界遺産】

その中でも最も見応えがあるのが建物の床に残された数々のモザイク画です。
《パフォス考古学遺跡 ④》【世界遺産】

残念ながらギリシャ神話に疎い私には馬の耳に念仏ですが、エオンの館(House of Aion)と呼ばれる建物の床に残るこちらの作品はアポロンとマルシュアス(誰それ?)だそうです。
《パフォス考古学遺跡 ⑤》【世界遺産】

幾何学模様もあります。
《パフォス考古学遺跡 ⑥》【世界遺産】

テセウスの館(Villa of Theseus)と呼ばれる建物跡の床に描かれているのはテセウスとミノタウロス(誰それ?)です。
《パフォス考古学遺跡 ⑦》【世界遺産】

屋根は無く野ざらしですが、非常に鮮やかな色彩を保っています。
《パフォス考古学遺跡 ⑧》【世界遺産】

モザイクも美しいですが咲き乱れる花もとてもきれいです。
《パフォス考古学遺跡 ⑨》【世界遺産】

ディオニソスの館(House of Dionysus)は立派な建物で覆われています。
《パフォス考古学遺跡 ⑩》【世界遺産】

ユネスコから補助金がたっぷり出たのか非常に整った構造です。

張り巡らされた通路の上から床一面に描かれたモザイクを観察するという趣向です。
《パフォス考古学遺跡 ⑪》【世界遺産】

因みにディオニソスというのは酒の神で、通称バッカスとして知られています。

この屋敷跡からディオニソスのモザイク画が多く発掘されたことからこの名が付いたそうです。
《パフォス考古学遺跡 ⑫》【世界遺産】

ただし、私にはどれがディオニソスなのかわかりません。
《パフォス考古学遺跡 ⑬》【世界遺産】

これかな?
《パフォス考古学遺跡 ⑭》【世界遺産】

これは違うようです。
《パフォス考古学遺跡 ⑮》【世界遺産】

因みにこちらはナルキッソス。ナルシストの語源となった美少年で水面に映った自分の姿に見入っている図だそうです。

西洋人ツアーグループに随行のガイドの説明で知りました。
《パフォス考古学遺跡 ⑯》【世界遺産】

このモザイクにはご丁寧に登場人物の名前が添えられています。

中央はイカロスとありますが、左端で女性に酒を勧めているのがディオニソスのようです。
《パフォス考古学遺跡 ⑰》【世界遺産】

無事ディオニソスを発見した後は引き続き公園内を散策します。
《パフォス考古学遺跡 ⑱》

敷地内には灯台もありますが、これは遺跡ではないようです。
《パフォス考古学遺跡 ⑲》【世界遺産】

何てことのないきれいなお花畑が続きますが、恐らくこの辺りも掘り返せば色々出てくるものと思われます。
《パフォス考古学遺跡 ⑳》【世界遺産】

野外劇場(Odeon)です。
《パフォス考古学遺跡 ㉑》【世界遺産】

遺跡公園の外には多くの人たちが単なる散歩を楽しめるよう海岸沿いに遊歩道が整備されています。
《パフォス城 ①》【世界遺産】

遊歩道の南端には Pafos Castle が建っています。
《パフォス城 ②》【世界遺産】

1391年に城として建てられましたが1570年に取り壊され、現在の姿になったのはオスマン帝国時代の1780年だそうで、城という名は付いているものの、防衛施設、牢獄、倉庫などとして使われてきたものだそうです。
《聖キリヤキ教会 ①》【世界遺産】

市街地中心部に近い Ayia Kyriaki 周辺には、4世紀に建てられ7世紀半ばに破壊されたという大聖堂の柱廊の跡が残っています。
《聖キリヤキ教会 ②》【世界遺産】

小さな教会ですが内部はそれなりにムードがあります。
《聖ソロモニのカタコンベ》【世界遺産】

聖キリヤキ教会にある Agia Solomoni Catacomb は、小さな穴蔵に設けられた礼拝施設です。

内部にはキリストのイコンなどが置かれていますが真っ暗なのでほとんど何も見えません。

外に出てこの写真を見てようやく内部の様子が把握できたような状況でした。
《王族の墓 ①》【世界遺産】

翌日は考古学遺跡の3kmほど北に広がる Tombs of the Kings を訪れました。
《王族の墓 ②》【世界遺産】

前日に通りかかった灯台が遠くに見えます。
《王族の墓 ③》【世界遺産】

この遺跡は、紀元前3世紀から紀元後3世紀までに造られた100を越える墓状の構造物が広い敷地に確認されているものですが、現在までに発掘されているのはそのうちわずか10ほどだそうです。
《王族の墓 ④》【世界遺産】

なお、王族の墓という名前が付いているものの実際はそうではなく、当時の富裕層のためのもだったとされていますが具体的に誰の墓だったのかなど詳細はわかっていません。
《王族の墓 ⑤》【世界遺産】

人生は死後も続くという考えに基づき、墓は死後の住まいと考えられていたエジプトの影響を受けているとされ、まるでマンションのような造りのものもあります。
《王族の墓 ⑥》【世界遺産】

岩を上から削って掘り下げて造り上げられたものは、エチオピアのラリベラにある聖ギオルギス教会に似ています。
《王族の墓 ⑦》【世界遺産】

中庭を囲む形で柱廊が設けられているものもあります。
《王族の墓 ⑧》【世界遺産】

多くの墓には棺の置かれていた壁龕が設けられています。
《王族の墓 ⑨》【世界遺産】

下に降りることもできます。
正に中庭付きの住居のような構造です。
《トロードス地方》

パフォス観光を終えて次に向かったのは、島の中西部の内陸に位置する Troödos Region です。

この地方には、世界遺産に登録された聖堂や修道院の他、素朴でかわいらしい村などの見どころが点在しています。
《キッコス修道院 ①》

Kykkos Monastery は、こんな山奥にありながら国内有数の規模を誇る11世紀創建の修道院です。
《キッコス修道院 ②》

とても歴史のある修道院ですが創建以来何度も火事に見舞われたためオリジナルの建物はほとんど焼失してしまい、現在残っているのは1831年に建てられたものを基礎としているそうです。
《キッコス修道院 ③》

その後も増築改修が繰り返されたとのことで、全体的に非常に新しい印象を受けます。
《キッコス修道院 ④》

この修道院に納められている「聖ルカによる聖母マリア」というイコン(聖像画)は、世界に3つしかないもののうちの一つとされていますが、公開はされていないのが残念です。
《キッコス修道院 ⑤》

その代わりというわけはありませんが、中庭は美しい壁画で彩られた回廊で囲まれています。
《キッコス修道院 ⑥》

2階に上がることもできます。

いい気分です。
《キッコス修道院 ⑦》

ノアの方舟のようです。
《キッコス修道院 ⑧》

他にも沢山の絵が描かれていてなかなか勉強になったつもりになりました。
《ペドゥラス村 ①》

キッコス修道院の10kmほど南東に位置する Pedoulas は、トロードス地方では比較的大きな村の一つで、この地方に建つ世界遺産の聖堂の中でも最も素晴らしいと呼び声の高い大天使ミハエル聖堂(Archangelos Michael)があることで有名です。
《ペドゥラス村 ②》

町の中心部には大層立派な教会が建っています。
《ペドゥラス村 ③》

これがかの有名な大天使ミハエル様かと思ったら、これは聖十字架教会(Church of the Holy Cross)という全くの別物でした。

ロンリープラネットにくれぐれも間違えることのないよう注意しましょうと書かれていたので何とか助かりました。
《大天使ミハエル聖堂 ①》【世界遺産】

という訳でこちらが本物のミハエル聖堂です。

この地方の10件の教会や聖堂が「トロードス地方の壁画教会群」というタイトルで世界遺産に登録されていますがそのうちの1件です。
《大天使ミハエル聖堂 ②》【世界遺産】

もっと大がかりな建物を想像していましたが、内部は10人も入れば満員になってしまいそうなほど小さな、まるで小屋のような施設です。
《大天使ミハエル聖堂 ③》【世界遺産】

それでも壁面から天井に至るまで美しい壁画で覆われています。
《大天使ミハエル聖堂 ④》【世界遺産】

正面には小さな壁龕があり、その上部にはミハエル様と思われる聖人が描かれています。
《大天使ミハエル聖堂 ⑤》【世界遺産】

見事な出来栄えですが、帰りがけに扉の内側に写真撮影禁止の張り紙がしてあるのを見つけてしまいました。

内側だったので入るときには気付きませんでした。

申し訳ないことをしましたが撮ってしまったので返すわけにもいかず、せっかくなのでこのような形で公開させて頂きました。
《カコペトゥリアの村 ①》

この日宿泊したのはこの地域で最も大きい Kakopetria の村です。
《カコペトゥリアの村 ②》

土のような壁の色と赤い屋根の建物が並んでいます。
《カコペトゥリアの村 ③》

標高約700mの過ごしやすい気候のため、普段は約1,500人が住んでいますが、夏になると避暑のために別荘を訪れる人などで2割近く人口が増えるそうです。
《カコペトゥリアの村 ④》

村の中でも少し高台にある Old Kakopetria は、地元でもイチ押しの中世の情緒を残す美しい一画です。
《カコペトゥリアの村 ⑤》

細い路地に風情のある家屋が並んでいます。
《カコペトゥリアの村 ⑥》

国内の他の地域では見られないような雰囲気です。
《カコペトゥリアの村 ⑦》

バルコニーも特徴的です。
《カコペトゥリアの村 ⑧》

なぜか大きな壺が常備されています。
《カコペトゥリアの村 ⑨》

先述のとおり、この村はキプロスの富裕層が退職後の避暑地として家を持つケースが多いそうで、お年寄りの姿をよく見かけました。
《カコペトゥリアの村 ⑩》

それ以外はあまり外を歩いている人の姿は見かけません。
《聖ニコラオス教会》【世界遺産】

カコペトゥリア村の中心部から西に3km行ったところにある Agios Nikolaos tis Stegis は、11世紀に建てられた教会で外見もキュートな感じですが、内部のフレスコ画が非常に有名です。

ただし、撮影禁止だったため残念ながら内部の写真はありません。
《聖バージン聖堂 ①》【世界遺産】

カコペトゥリアの約1km北に建つ Panagia tis Podythou もまた、世界遺産に登録された聖堂ですが、少し離れた幹線道路上から見ると白川郷の集落のうちの1軒といった佇まいです。
《聖バージン聖堂 ②》【世界遺産】

この聖堂は鍵がかかっていて中に入ることができませんでした。

世界遺産の教会群ではありますが、一部を除いてそのうちの多くは通常はこのように鍵がかかっていて、ツアー客などが来ると事前に連絡があった場合に限って管理人が来て開けてくれるというケースが多いようでした。
《アシヌ教会 ①》【世界遺産】

引き続き、カコペトゥリア村から車で約30分、距離にして25kmほど北の山中にある Panagia Forviotissa を訪れました。

通称 Panagia Asinou(アシヌ教会)と呼ばれているそうです。
《アシヌ教会 ②》【世界遺産】

この辺りにはこのように大きくて急斜面の屋根を備えた教会や聖堂が多いですが、これはこの地方には冬に多くの雪が降ることによるものだそうです。
《アシヌ教会 ③》【世界遺産】

内部には12世紀以降に描かれた様々なフレスコ画群が残っています。
《アシヌ教会 ④》【世界遺産】

そのモチーフはイエス、生聖母マリアの他、聖人、預言者など多彩で、新約聖書からとられた場面も多く描かれています。
《アシヌ教会 ⑤》【世界遺産】

因みに、この教会も撮影禁止の札は出ていたのですが、たまたま一緒になったヨーロッパ人の団体観光客約20人が、ガイドが付いているにもかかわらず滅茶苦茶写真を撮りまくっていたので、私もご相伴に与ることにしました。
《アシヌ教会 ⑥》【世界遺産】

お陰様で善か悪かは別として沢山の写真を撮ることができました。
《アシヌ教会 ⑦》【世界遺産】

拷問の様子も描かれています。
《アシヌ教会 ⑧》【世界遺産】

修復中なのか絵の勉強中なのかわかりませんが、管理人のような風体の男性がここに座っていましたが写真を撮ろうとしたらどいてくれました。

何か少し申し訳ない気持ちになりました。
《聖十字架聖堂 ①》【世界遺産】

最後にカコペトゥリアの村から南に約20km下ったところにあるペレンドリ村(Pelendri)の Timios Stavros という小さな聖堂を訪れましたが、ここも鍵が閉まっていて中には入れませんでした。
《聖十字架聖堂 ②》【世界遺産】

世界遺産の教会群はこの他にもいくつかあったのですが、切りがない(というか時間がなかった)ので、これで終わりです。

このように、キプロスの見どころは各地に点在していて交通の便もあまり良くないので、できればレンタカーで自由に回るのがお薦めです。

料金も比較的安いので興味があれば是非検討してみて下さい。

キプロス共和国の写真集(前編)に戻る。

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