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旅の写真集  ブータン王国(前編)HEADLINE

ブータン観光の旅行記を兼ねた写真集の前編です。このページでは、パロ国際空港到着後、パロ、ワンデュ・ポダンを経てトンサまで、一路東へ向かう往路の様子をご紹介します。

《パロ国際空港 ①》

Paro International Airport は、パロ市街から6kmに位置するブータン唯一の国際空港です。
《パロ国際空港 ②》

滑走路からは、ゾン(Dzong)と呼ばれる僧院の一つパロ・ゾンが見えます。なお、山腹に見える小さな建物はタ・ゾンと呼ばれる国立博物館です。
《パロ国際空港 ③》

ターミナル・ビル手前の通路には、歴代の5人の国王の肖像が掲げられ、訪問客を温かく迎えてくれます。
《ドゥルック・エアー》

企業名は Druk Air Corporation Limited で、通称ドゥルック・エアーですが、ロイヤル・ブータン航空(Royal Bhutan Airlines)とも呼ばれる国営航空会社の尾翼には美しい国旗のデザインが描かれています。
《ドゥルック・エアー航空機とターミナルビル》

ターミナルビルもブータンらしいデザインで圧倒されます。
《イミグレーション》

イミグレーション自体は他国と同様ですが、内装が美しいので、並ぶのもいつもほど苦になりません。
《パロ国際空港 ④》

現状では、ブータン旅行は現地の代理店を通してのパッケージツアーしか認められていないので、事前にホテル、移動手段、ガイドなどすべてを日本から予約して行く必要があります。非常に高額な公定料金が定められているので敷居が高いのが難点ですが、覚悟を決めてしまえば楽ちんであるのは間違いありません。

写真は、空港近くの幹線道路から見た空港です。専用車なので、停まってほしいところでどこでも停まれるので便利です。
《空港沿いの家屋》

空港のすぐ脇にも集落があります。この辺りには土地はいくらでもありそうなのにわざわざここに住んでいるというのも不思議ですが、空港ができる前からの原住民の方たちでしょうか。
《パロの街》

パロは、山がちなブータンでは珍しくそこそこの平地に恵まれたパロ渓谷を流れるパロ川沿いの人口15,000人程度の小さな町です。市街地中心部はほぼこの写真に収まってしまっているほどですが、パステルカラーにも見える町並みはとても美しいです。
《タ・ゾン ①》

まず最初に Ta Dzong と呼ばれる国立博物館を訪ねました。この建物はパロの初代ペンロプ(知事)だった人物が17世紀に建てた望楼を転用して利用されているもので、内部に展示されているコレクションよりもその佇まいの方が印象的で一見の価値があります。
《タ・ゾン ②》

内部も歴史を感じさせる重厚な雰囲気でなかなかのものですが、白壁と美しく配置された木製の窓が織り成す外観も見応えがあります。なお、3階建て程度に見えますが、山の斜面に建っていて実際は6階建てです。
《タ・ゾン ③》

隣接する事務所棟のような建物もとてもお洒落な造りです。
《パロ・ゾン ①》

タ・ゾンから斜面をを降りていくとパロ・ゾンに着きます。

因みに、ゾンというのは、チベット文化圏に多く見られる城塞建築で、ブータンでは最上位の地方区分単位の庁舎で、僧院を兼ねた県庁のような役割を持っています。ただし、地方に建てられた古いゾンの中には廃墟のようになっているものもあり、現在ではその実体は様々です。
《パロ・ゾン内部 ①》

そんな中、パロ・ゾンは、居間もその機能を遺憾なく発揮しているゾンの一つです。
《パロ・ゾン内部 ②》

正式名称はリンプン・ゾン(Rinpung Dzong)と言い「宝の山のゾン」という意味だそうです。
《パロ・ゾン内部 ③》

パロ・ゾンの元になった寺は15世紀に建てられ何度かの改築を経てゾンになったそうですが、1907年の火災によって焼失してしまい、現在の建物は、その後再建されたものだそうです。
《パロ・ゾン内部 ④》

因みに、ゾンというのは、いくつもの寺や僧坊、集会場、炊事場、事務所などがまとまったコンプレックスのような構造物全体を指すもので、一つの寺(あるいは本尊)を指すものではありません。
《パロ・ゾン内部 ⑤》

なお、多くのゾンは防衛に便利なように山中の険しい斜面に建てられることが多い中で、パロ・ゾンは、パロ川の畔の比較的平らな土地に建っているのが特徴的です。
《パロ・ゾン内部 ⑥》

色々能書きを書いてみましたが、そんな知識は別としても、建物の至る所にまでグローバル・スタンダード的に見ても類稀な非常に美しい装飾がなされていて非常に感銘を受けました。
《タ・ゾンの六道輪廻図》

六道輪廻図は、中心には輪廻する原因の無知・憎しみ・貪欲の三毒が、その外側に、上から時計回りに、天、修羅、餓鬼、地獄、畜生、人の6つの世界が、最も外側に12の因縁が描かれているインドに起源を持つ世界観を表した図です。ブータンのゾンや寺院では非常に良く見かけます。
《パロ・ゾンの四朋獣図》

鳥が種を蒔き、兎が水をやり、猿が肥料を与え、象が木を守り、育てた木に実が成るとお互いの背中に乗って協力して果実を分け合うことを表わした絵で、英語では Four Friends と呼ばれています。仏教の教えに基づき、皆で仲良く暮らすこと、また年上の方を敬うことの大切さを教えるもので、ブータンでは人気のある絵だそうで、寺院などはもちろん、ホテルや飲食店などでもよく見かけます。
《パロ・ゾンへの橋 ①》

パロ・ゾンの入口は、先ほど斜面を降りてきたところにあったものなのですが、パロ川側にはこれまた風情のある木製の橋が架かっていて和の雰囲気を感じさせてくれます。
《パロ・ゾンへの橋 ②》

楽しそうにそぞろ歩く姉弟や座り込んでいる老人など、様々な人間模様が見られます。
《パロ・ゾン ②》

川越しに下から見たパロ・ゾンです。これから飽きるほどゾンを見ることになりますが、ほぼ正方形に近いゾンというのは珍しいです。因みに、上方にちらっと見えるのがタ・ゾンです。
《運動会》

町の外れの空き地では小学校の運動会と思しき行事が執り行なわれていました。
《沿道の民家》

これが典型的なブータンの民家かというと決してそんなことはないと思いますが、日本の地方でも見かけられそうな雰囲気だったので、記念に持ち帰ることにしました。
《ドチュ・ラ・チョルテン ①》

ブータンの地図を見るとわかりますが、国土を東西に結ぶ道路は1本しかありません(総延長は600km強)。この幹線道路には途中3千メートルを超える峠がいくつもあり、パロから東に向かい首都ティンプー(Thimphu)を越えて1時間ほど走ったところにあるのが、標高3,150mの Dochu La(「ラ」は峠の意味)です。
《ドチュ・ラ・チョルテン ②》

チョルテンとは、仏塔を意味するチベット語ですが、ブータンでは至る所で見かけるものです。形は様々ですが、特に峠などには必ずあり、ここドチュ・ラも例外ではありません。
《ドチュ・ラ・チョルテン ③》

ここのチョルテンは、かつては大きな仏塔が一つ建っていただけだったそうですが、2004年に第4代国王の王妃が平和を祈念し108の仏塔を建てたというものです。
《ドチュ・ラ・チョルテン ④》

円形の敷地内にデコレーション・ケーキのキャンドルのように建てられたとても美しいチョルテンです。
《ドチュ・ラのドゥルック・ワンギャル寺院 ①》

このチョルテンの脇には小さな丘があって、そこを登っていくと2008年に建てられた Druk Wangyel という新しい寺院があります。
《ドチュ・ラのドゥルック・ワンギャル寺院 ②》

小さいながらも、細部にまで抜かりなく精緻な仕事が施されています。
《ドチュ・ラのドゥルック・ワンギャル寺院の壁画 ①》

外壁に描かれた壁画です。下の部分にはドゥルック・ワンギャル寺院そのものが、上半分には天女のように舞う5人のギャルが、それぞれ描かれています。
《ドチュ・ラのドゥルック・ワンギャル寺院の壁画 ②》

寺院そのものも写実的でいいと思いますが、今風のギャルBTN5(仮称)です。宗教画とは思えない可愛さに、ひどく萌え上がってしまいました。こんな宗教なら今すぐにでも入会したいです。
《ドチュ・ラ・チョルテン ⑤》

ドゥルック・ワンギャル寺院から見たドチュ・ラ・チョルテンも素敵です。

また、ドチュ・ラからは、晴れた日には北方の中国(チベット)国境に連なるブータン最高峰のガンカ・プンスム(7,570m)を始めとしたヒマラヤ山脈を望むことができるそうで、周囲にはほんの数件ですがレストランやホテルなども建っています。
《ワンデュ・ポダン・ゾン》

ドチュ・ラから下り始めて1時間半ほど走ると、Wangdue Phodrang の町に到着します。幹線道路で対岸に渡って坂を登った写真のゾンの周辺が町の中心部です。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ①》

この日は日曜日だったため、週に一度の日曜市を見学することができました。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ②》

雨が降っていて生憎の天候でしたが、それでも結構な賑わいです。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ③》

チベット文化の影響が強く、地理的にもチベットとインドに挟まれたブータンですが、主食はあくまで米です。赤米がメインですが白米なども含め各種売られています。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ④》

ブータン料理は世界一辛いと言われるだけあって、唐辛子の量は尋常ではありません。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ⑤》

八百屋さんでも一番目立つ場所にふんだんに用意してあります。

ブータン料理に欠かせないのは、唐辛子、チーズ、米で、エマ・ダツィと呼ばれる唐辛子とチーズを煮込んだ料理がブータン人のソウル・フードと言われています。肉類などもエマ・ダツィを使って調理します。

とにかく、ブータン人の唐辛子の消費量は半端ではないのです。
《ワンデュ・ポダンの日曜市 ⑥》

一方、基本的にブータン人は魚は食べません。国内に川はそこそこ流れていますが、魚を獲って食べるということはほとんどしないそうです。殺生を嫌うブータン人は、1つの命でたくさんの人が食べることができる方が良いと考えていることもあるようです。それでも、時々食べたくなることもあるようで、そんな時のためにインドから干し魚が輸入されて売られています。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ①》

ワンデュ・ポダンは、プナツァン川とダン川が合流し、西のティンプー、北のプナカ(Punakha)、東のトンサ(Trongsa)、南のダンプ(Damphu)に向かう道が交わる交通の要撃であるため、早くからその地理的重要性が認識され、川や道が走る谷を望む崖の上にゾンが建てられたものです。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ②》

1638年に建立されたもので、ブータン国内ではシムトカ(Semtokha)・ゾン、プナカ・ゾンに次いで国内で3番目に古いゾンだそうです。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ③》

また、この地方は乾燥した風の強い地域で、ワンデュ・ポダンは風の街とも言われ、このゾンもウインディー・ゾンというニックネームもあるそうです。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ④》

木造建築物特有の暖かみが感じられ懐かしい気持ちになります。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ⑤》

迷路とまではいきませんが、メリハリのある構造も魅力的です。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ⑥》

由来は不明ですが、キュートなポーズのスケルトンキャラも先進的に導入されています。
《ワンデュ・ポダン・ゾン内部 ⑦》

このように美しいゾンですが、誠に残念なことに、漏電による出火と見られる火災で2012年6月24日に全焼してしまいました。同年3月に世界遺産への登録を申請した矢先の出来事でした。現在修復中ですが、完成の見込みは立っていないそうです。時間は掛かると思いますが、少しでも早い再建を願っています。
《ワンデュ・ポダン・ゾン付近の集落 ①》

ワンデュ・ポダンの町から川を挟んだ対岸にあるリンチェンガンの村です。ブータンでは、このような山の斜面に寄り添うように家屋が並んでいる集落をよく見かけます。
《ワンデュ・ポダン・ゾン付近の集落 ②》

周囲には棚田が広がっています。季節によって、色彩の異なる美しい景色が楽しめそうです。
川の手前川に建つ8基の仏塔もチャーミングです。
《ワンデュ・ポダン・ゾンの参道》

ゾンから町の中心部を結ぶ500mほどの参道には僧侶の姿をよく見かけます。

お洒落な性格なのかユニフォームなのか、傘も赤いのがとてもいいです。
《ワンデュ・ポダンの町 ①》

ワンデュ・ポダンの中心部は、ゾンの城下町といった風情で、ゾンの参道への入口にあるタクシースタンドを中心に町が広がっています。
《ワンデュ・ポダンの町 ②》

広がっていると言っても、市街地中心部と呼べるものは、タクシースタンドから東西に向かう幹線道路の両側に500mほどずつ店が並ぶ程度の小さなものです。
《ワンデュ・ポダンの町 ③》

その商店街自体も、木造の小規模な小売店が並ぶローカルな雰囲気に満ちています。
《ワンデュ・ポダンの町 ④》

そうはいうものの、これが、ブータンを東西に横断する唯一無二の幹線道路です。
《ワンデュ・ポダンの町 ⑤》

商店街自体あまり大きくはありませんが、大きなスーパーなどは無いので老若男女、皆さんここで買い物をするため、適度に賑わっていてバランスが取れている感じです。
《ペレ・ラのチョルテン》

ワンデュ・ポダンを出て更に東に向かうと、2時間弱でドチュ・ラよりも標高が高い3,360mのペレ・ラ(Pele La)を通過します。ドチュ・ラと違って、仏塔が1塔建つだけの寂しい峠です。なお、このチョルテンは五輪塔型と呼ばれ、東ブータンに多い形だそうです。ドチュ・ラに建っていた、西ブータンに多いとされている108基の四角いブータン式チョルテンとの違いも興味深いです。
《チェンデブジ・チョルテン ①》

ペレ・ラを過ぎて30分ほど下ったところにある Chendebji(標高2,420m)です。18世紀に、当時この地方を支配していた悪霊を封じ込めるために建てられたものだそうです。
《チェンデブジ・チョルテン ②》

因みに、「チェン」は「目」を意味するとのことで、その名の通り、仏塔の四方には仏陀の目が描かれ周囲を見つめています。

ブータンでは珍しいですがネパールではよく見る姿だと思っていたら、カトマンズにあるスワヤンブナス寺院(Swayambhunath Temple)を見本に造られたものだそうです。
《トンサ・ゾン ①》

チェンデブジ・チョルテンを過ぎるてと30分ほど走ると目の前にトンサ(Trongsa)・ゾンが見えて来ます。ちょうどいい具合に展望台も設置されていて、トンサの町はすぐ近くに見えます。

ところが、500mくらい先のすぐそこに見えるゾンに辿り着くためには、間にある深い谷を13kmも(左方向に)迂回して車で約30分かかります。
《トンサ・ゾン ②》

右側の山裾を迂回して山を下り、ようやく川を渡れる場所まで来ました。左奥に見えるトンサ・ゾンまではあと7kmほどです。
《トンサ・ゾン ③》

遂に本物のトンサ・ゾンが手に届く距離にまで近付くことができました。ここまで来ればもう大丈夫です。
《弓道くん ①》

ゾンの前の広場では地元の人々が弓に興じていました。ダツェと呼ばれる弓技は国技ともなっていて、子供から大人まで楽しむ伝統的なスポーツで、どんな小さな村にもアーテェリー場があるほどです。
《弓道くん ②》

的までは約130mも離れているそうです。イチローでもダイレクト送球できるかどうか微妙な距離で、まして的に当てるなどということは、ゴルゴ13くらいの腕力がないと明らかに無理です。
《トンサ・ゾンから見た渓谷》

それはともかく、これが、トンサ・ゾンから今来た道を眺めた様子です。左から右に移動するだけで30分以上かかりました。橋があれば1分もかからない距離です。日本の元首相なら「国がたった2,500億円も出せないのかね」などと言って橋を架けてしまいそうな渓谷ですが、価値観が全く違うのでどうしようもありません。
《トンサ・ゾン内部 ①》

トンサは位置的に東西南北どこから見てもブータンのほぼ中央に位置し、王家との関係も深く、歴史的に非常に重要な地とされてきました。そのため、トンサ・ゾンは、国内に数あるゾンの中でも最も規模が大きいものとなっています。
《トンサ・ゾン内部 ②》

標高約2,000mの急峻な山の斜面にへばりつくような形で細長く複雑な構造で建つゾンは、巨大な軍艦のようでもあります。
《トンサ・ゾン内部 ③》

そんな訳もあって、規模の割に全体的に幅が狭い構造となっています。
《トンサ・ゾン内部 ④》

古くから交通の要衝であったことから、このゾンは関所のような役割を持っていたこともあり、内部には昔からブータンの東西を繋いできた旧道が通っていて、かつて東部と西部を行き来する人は、必ずこのゾンの内部を通って行かなくてはならなかったそうです。
《トンサ・ゾン内部 ⑤》

それにしても相変わらず美しい木造建築です。
《トンサ・ゾン内部 ⑥》

規模が大きくなっても、細部にまで手を抜くことなく丁寧な仕事がされています。
《トンサ・ゾン内部 ⑦》

出窓もお洒落です。
《トンサ・ゾン内部 ⑧》

鳩もいます。
《トンサ・ゾン ④》

順番が逆ですが、これが正面から見た様子です。手前がアーチェリー場になっています。

後半は、更にもう少し東のブムタン地方を訪問した後、帰路に就きます。プナカ・ゾンやタクツァン僧院などまだまだハイライトが目白押しなので、そちらも是非ご覧下さい。


旅の写真集ブータン(後編)へ進む。

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