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旅の写真集  インド共和国(その11)HEADLINE

インド観光の旅行記を兼ねた写真集(その11)です。ここでは、西インド、デカン高原の北西部に位置する比類のない世界遺産、アジャンタとエローラの石窟寺院をご紹介します。遺跡に関しての客観的な記述が多くコメントにメリハリが欠けるのが残念ですが、どちらも世界遺産に相応しい素晴らしい遺跡なので、写真だけでもご覧頂ければ幸いです。

《アウランガーバードのビービー・カ・マクブラー ①》

インド中西部の大都市ムンバイ(Mumbai)の東約340kmに位置する人口約120万人の町アウランガーバード(Aurangabad)は、世界遺産の石窟寺院で有名なアジャンタ(Ajanta)とエローラ(Ellora)への玄関口と知られていますが、市内にもいくつか立派な見どころがある歴史的な町です。
《アウランガーバードのビービー・カ・マクバラー ②》

写真は、市街地の若干外れにある Bibi-ka-Maqbaraの入口ですが、出てくる皆さんは全員満面の微笑みを向けてきてくれます。

毎度のことながら、手前の女性の家族はもちろんのこと、その少し奥にいる結構怪しげな3人組の男性も何がそんなに嬉しいのか同様のにやけたカメラ目線でインド情緒が高まって来ます。
《アウランガーバードのビービー・カ・マクバラー ③》

こちらがそのビービー・カ・マクバラー の本殿です。1661年にムガル帝国第6代皇帝アウラングセーブの息子アザム・シャーが母を偲んでタージ・マハルをモデルにして建てたそうですが、財政難から大理石の使用は一部のみだそうです。
それでも、夕方になって少し涼しくなると、散歩大好きなインド人たちがどこからともなく現れて毎日大賑わいを見せています。
《アウランガーバードのビービー・カ・マクバラー ④》

そんなことから、本来この墓廟の名前は、直訳すると「婦人の墓(Tomb of the Lady)」の意味だそうですが、タージ・マハルと区別するために「貧乏人のタージ」という愛称で親しまれているそうです。
《アウランガーバードのビービー・カ・マクバラー ⑤》

それでも、ファザード部分には大理石が使われ見事な彫刻が施されているので、タージ・マハルと比較するのは可哀想ですが、グローバル・スタンダード的には十分美しい姿を見せています。
  《アジャンタ石窟寺院》【世界遺産】

アウランガーバードの北東約100kmの山中にあるワーグラー(Waghur)渓谷のU字型に歪曲する断崖沿いの中腹に、約550mに渡って断続的にくり抜かれた大小30の仏教石窟寺院群が1983年に世界遺産に登録された Ajanta Caves です。
《野猿 ①》

アジャンタの石窟寺院周辺には、ハヌマーン(Hanuman、ヒンドゥー教の聖典「ラーマーヤナ」における猿神の一人)のモデルとなったハヌマンラングール(和名 ハヌマンザル)という野猿が多く出没します。
観光客が持っている食べ物などをひったくったりして態度はあまりよくありませんが、人気の神様の末裔なので、インド人はとても寛容です。
《野猿 ②》

そんなやんちゃな猿ですが、やはり子供は非常にかわいいです。

全体的にもう少し温和しければ色合いも綺麗なのでもっと人気が出ると思うのですがちょっと残念です。
《アジャンタ石窟第1窟 ①》【世界遺産】

アジャンタの石窟群は渓谷に沿って基本的に東側から西側に向かって第1窟から28窟までが並んでいます(但し後に発見された29窟が20と21の間、30窟は16の近くにあります)。

ここでは第1窟からご紹介しますが、第1窟は、その内部の美しい壁画が有名です。
《アジャンタ石窟第1窟 ②》【世界遺産】
石窟内は半端でなく暗いので見えづらいのが残念ですが、左上が5世紀後期の作品「王宮で潅水(かんすい)を受けるマハージャナカ王」、右がアジャンタ全体でも最高傑作とも言われている5~6世紀に描かれたとされる「蓮華手観音菩薩像」です。
《アジャンタ石窟第1窟 ③》【世界遺産】

右手に蓮華を持つ蓮華手菩薩像は、日本の法隆寺金堂の壁画のモデルともなったと言われています。
《アジャンタ石窟第4窟 ①》【世界遺産】

第4窟は、アジャンタで最も大きな規模のヴィハーラ窟(Vihara、僧坊)として計画されたところ、掘削中に地質的に石窟に適していないことが発覚したため、未完の石窟となっています。
《アジャンタ石窟第4窟 ②》【世界遺産】

それでもご本尊の仏様はきちんと安置されています。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ①》【世界遺産】

石窟群はには若干の高低差があり、それぞれの石窟を繋ぐ回廊には多くの階段が設置されています。
《アジャンタ石窟第10窟 ①》【世界遺産】

第10窟はチャイティヤ窟(Chaitya)です。
チャイティヤ窟というのは内部にストゥーパ (仏塔) または仏像が安置された石窟のことで、通常の寺院でいうところの仏殿や本堂のような役割を果たしていたものです。
ヴィハーラ窟が僧院と呼ばれるのに対して、チャイティヤ窟は塔院とも呼ばれます。
《アジャンタ石窟第10窟 ②》【世界遺産】

後期(5世紀頃)のチャイティヤ窟には最も奥にストゥーパを背にした仏像が祀られていますが、この石窟は紀元前1世紀に掘られた初期のものであるため、ストゥーパのみが立っています。
《アジャンタ石窟第10窟 ③》【世界遺産】

それにしても紀元前1世紀の作品とは思えない美しい仏像画です。
《アジャンタ石窟第11窟》【世界遺産】

第11窟は、前期窟の第10窟と12窟の間に後から(5世紀後半に)掘られた後期ヴィハーラ窟です。
奥の仏像は非常に安らかな表情をしており、足元には跪いた信者の像も配置されています。
《アジャンタ石窟第16窟》【世界遺産】

第16窟と第17窟には、エレファント・ゲートと呼ばれる2頭の象に挟まれた門から入場します。
《アジャンタ石窟第17窟 ①》【世界遺産】

第17窟は仏陀の前世を描いたジャータカの場面が多く残っています。
左はその中でも有名な六牙白象本生です。

釈迦は29歳で出家した後、35歳で悟りを開いて仏陀になり、80歳で入滅したとされていますが、実際は、前世、前々世に渡って数々の善行の積み重ねがあったからであり、それらの物語を表したのがジャータカです。
《アジャンタ石窟第17窟 ②》【世界遺産】

5世紀後半に描かれた王宮の場面です。

この頃の石窟は、王侯貴族や富裕な商人が寄進して造られたものであるため、壁画や仏像も豪華で芸術的なレベルも高いとのことです。
《アジャンタ石窟第17窟 ③》【世界遺産】

不思議な模様の天井画も凝っています。
《アジャンタ石窟第17窟 ④》【世界遺産】

誰が何をしているところなのかわかりませんでした。ちょっとグロキモカワな構図です。
《アジャンタ石窟第19窟 ①》【世界遺産】

チャイティヤ窟である第19窟のファサード(正面)にある大きな窓はチャイティヤ窓と呼ばれます。
それを取り囲むように、壁面には大小様々な仏像が数多く彫られています。
《アジャンタ石窟第19窟 ②》【世界遺産】

5世紀築造の後記チャイティヤ窟なので、ストゥーパには仏陀の立像が直接刻まれています。
《アジャンタ石窟第19窟 ③》【世界遺産】

前期チャイティヤ窟の第10窟は壁画が美しかったですが、こちらは彫刻が見事です。
《アジャンタ石窟第20窟》【世界遺産】

第20窟は5世紀後半に掘られたヴィハーラ窟です。
最深部には他のヴィハーラ窟同様、仏像が安置されています。
《アジャンタ石窟第23窟》【世界遺産】

第21窟から25窟もヴィハーラ窟で特に変り映えはしないのですが、柱の彫刻には目を瞠るものがあります。
写真は第23窟です。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ②》【世界遺産】

第26窟手前付近から東方向を見た石窟群の様子です。
《アジャンタ石窟第26窟 ①》【世界遺産】

第26窟は奥行き21m、天井の高さ10mと、アジャンタで最も豪華なチャイティヤ窟で、ストゥーパには直接ブッダの倚坐像が刻まれています。
《アジャンタ石窟第26窟 ②》【世界遺産】

石柱を飾る唐草文様の彫刻も精緻の極みです。
柱を支えるヤクシャ(Yaksa、家屋に悪霊が侵入するのを防ぐ門神のこと。日本では夜叉、薬叉とも呼ばれます)の表情には愛嬌があります。
《アジャンタ石窟第26窟 ③》【世界遺産】

これまでの写真でお気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここでご紹介している寺院は全て石窟なので、本来は天井を補強するための柱や梁といったものは必要ありません。
それにもかかわらずこのような豪華な彫刻が施された柱や梁で窟内を装飾するという古代インド人のこだわりの強さには感服させられます。
《アジャンタ石窟第26窟 ④》【世界遺産】

ストゥーパの裏には、インド最大、全長7.3mの釈迦涅槃像が横たわっています。
《アジャンタ石窟第26窟 ⑤》【世界遺産】

更にストゥーパを取り囲むようにして様々な物語が展開されています。
《アジャンタ石窟第26窟 ⑥》【世界遺産】

その中でも最も有名なのが降魔成道(ごうまじょうどう)の浮き彫りです。

降魔成道とは、釈尊が悟りを開くのを邪魔するために魔物の軍勢が攻撃してきた際にこれを退けて悪魔に勝利し、成道つまり開悟(悟りを開く)したというエピソードですい。
《アジャンタ石窟第26窟 ⑦》【世界遺産】

菩提樹の下で瞑想する釈迦の邪魔をする魑魅魍魎が描かれています。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ③》【世界遺産】

第28窟の見学を終え、その正面から対岸に向かう橋を渡って岩山を登ると素晴らしい展望が見られます。
《アジャンタの滝》

西方向(第28窟の更に奥)を見ると、10段以上はありそうな Ajanta Caves Waterfalls が見られます。
これを見るだけのために苦労して登る価値があるほどの美しい滝です。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ④》【世界遺産】

写真中央やや左寄りに見えるのが第一ビューポイントです。
石窟群が一望できます。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ⑤》【世界遺産】

更に500mほど(標高ではなく距離)登ると第二ビューポイントがあります。
第一ビューポイントが遙か下に見えます。
《アジャンタ石窟寺院群の眺め ⑥》【世界遺産】

帰り際に第一ビューポイント近くから見た石窟群です。

ほとんど一枚岩と言える巨石に掘られているのがわかります。
《ダウラターバード砦 ①》

翌日はエローラ石窟寺院を訪れるためにツアー(移動手段のみ)に参加しました。

本題のエローラの前に立ち寄ったのが、アウランガーバードの西の郊外10kmほどのところにある Daulatabad Fort です。
《ダウラターバード砦 ②》

砦自体は12世紀後半に築造されたものですが、敷地内には宮廷や寺院など後の時代に建てられた構造物も散在しています。

1447年に建てられた高さ30m、4層構造の尖塔、チャーンド・ミナール(Chand Minar)もそのうちの一つです。
《ダウラターバード砦 ③》

中世インドで最強の要塞とも称えられ、一般に、ジョードプルのメヘラーンガル砦とハイダラバードのゴールコンダ砦と並んでインドの3大砦とさえ言われるそうですが、確かに規模は大きいものの、砦と言うより丘そのものの趣が強く、個人的にはあまりインパクトを感じない砦でした。
《ダウラターバード砦 ④》

入口を入って30分ほど酒屋階段を登り続けると頂上に到着です。
途中の通路や濠なども要塞の雰囲気はありましたが、実際に砦と呼べるような絵になる構造物はこの建物に尽きる感じです。
《ダウラターバード砦からの眺め ①》

こちらは砦の頂上から見た敷地内の様子です。
約63ヘクタールあるそうですが、全体的に要塞感に欠ける感じです。
《ダウラターバード砦からの眺め ②》

ダウラターバードは12世紀中頃から約200年に渡っていくつかの王朝の首都だったこともありますが、現在では、色彩豊かな家屋が並んでいるものの、砦の麓の城下町といったいった質素な佇まいです。
《ダウラターバード砦からの眺め ③》

砲台もありますが、今ではインド人の遊具となってしまっています。
《エローラ石窟寺院》【世界遺産】

ダウラターバードから車で15分ほどで Ellora Caves に到着です。

エローラは、インド古代三大宗教である仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟寺院が並び立つ世界で唯一の場所です。全部で34の石窟が並んでいますが、その延長はアジャンタより長く、南北約2kmに渡っています。

アジャンタと同じく1983年に世界遺産に登録されました。
《エローラ石窟第5窟》【世界遺産】

第5窟は、幅18m、奥行き36m というエローラ最大の内部空間を持つヴィハーラ窟ですが、両側の側廊と呼ばれる部分との境に石柱が立っている以外に中央には支えはありません。

これはアジャンタの項目で先述のとおり、石窟であるために柱の有無にかかわらず天井は落ちてこないという理由によるものです。
つまり、物理的には側面の柱も必要ないという訳です。
《エローラ石窟第6~9窟 ①》【世界遺産】

6~9窟は内部で繋がっています。写真は第6窟の入口ですが、アジャンタの後期石窟同様、凝った装飾が施されています。

エローラの石窟群は先述のとおり3つの宗教に別れますが、第1~12窟が5世紀後半に開窟されたアジャンタに続く7~8世紀開窟の仏教石窟で、インドにおける最後の仏教石窟とされています。

因みに、、第13~29窟がヒンドゥー教石窟、第30~34窟がジャイナ教石窟となります。
《エローラ石窟第6~9窟 ②》【世界遺産】


第6窟の石柱です。上部の岩石と色が違うように見えますが気のせいでしょうか。
《エローラ石窟第6~9窟 ③》【世界遺産】

振り返って見ると、第5窟の前をちょろちょろと滝が流れ落ちているのがわかります。
《エローラ石窟第10窟 ①》【世界遺産】

第10窟は、エローラで唯一のチャイティヤ窟です。
7世紀に掘られたもので、インドのチャイティヤ窟の最高峰とされているそうです。
《エローラ石窟第10窟 ②》【世界遺産】

チャイティヤ窓はアジャンタのものと比較すると小型化していますが、周囲の装飾は上品です。
《エローラ石窟第10窟 ③》【世界遺産】

ストゥーパには直接ブッダの倚坐像が刻まれています。

まるで鯨の胎内のような梁のデザインですが、これも物理的に必要なものではなく、あくまで装飾目的のものです。
《エローラ石窟第10窟 ④》【世界遺産】

まるで木造建築の寺院の彫刻のように繊細な仕事振りです。

このような構造から、本窟は「大工の石窟」(Carpenter's Cave)とも呼ばれています。
《エローラ石窟第11窟》【世界遺産】

三層から成る第11窟は、ドー・タール窟(Do Thal)とも呼ばれています。

第1窟~第10窟が7世紀の建造であるのに対して、第11窟~第12窟はインド仏教の衰退期である8世紀の建造であるため、ヒンドゥー教の影響が強くなっています。
《エローラ石窟第12窟》【世界遺産】

第11窟と同様三層構造の第12窟(別名ティーン・タール窟 (Tin Thal))は、どの階層もアジャンタ最大の第4窟よりも広く、インドで最も規模の大きいヴィハーラ窟です。

第11窟、第12窟ともに、上から下へ掘り下げられたため、第3層が一番古く、最下の第1層が最後に開窟されたものです。
《エローラ石窟第13窟及び第14窟》【世界遺産】

第13窟から北、第29窟まではヒンドゥー教石窟群です。右の穴が第13窟、左が第14窟です。

なお、ヒンドゥー教というのは、広義ではインド国内に存するキリスト教及びイスラム教以外の諸宗教の総称であり、仏教もヒンドゥー教の一派とされます。そのためかどうだかわかりませんが、素人の私には第14窟の開口部は仏教窟と区別がつきませんん。
《エローラ石窟第15窟 ①》【世界遺産】

第15窟は階段を登ってアクセスします。ただ、この階段がいつ造られたものなのかは私にはわかりませんでした。
《エローラ石窟第15窟 ②》【世界遺産】

前庭にはナンディー堂(シヴァ神に仕える雄牛ナンディーを祀った祠堂)があることから、ヒンドゥー寺院であることがわかります。
《エローラ石窟第15窟 ③》【世界遺産】

奥には、2層構造の石窟があります。前面は、これまた仏教窟に似ていますが、実際のところ、第1列目の柱の外面には釈迦坐像が彫られていることから、当初は仏教窟として造り始められ、途中でヒンドゥー教窟に改められたものと考えられているそうです。
《エローラ石窟第15窟 ④》【世界遺産】

第15窟の下層にはめぼしい彫刻はありませんが、上層にはヴィシュヌ神やシヴァ神の活躍を描く活き活きとした作品が目立ちます。
左の写真は、ヴィシュヌ神の第3のアヴァターラ(化身)であるヴァラーハ(猪の化身)です。
《エローラ石窟第15窟 ⑤》【世界遺産】

ヴィシュヌの第5のアヴァターラであるヴァーマナ(Vāmana)の有名な神話トリヴィクラマ(三界(地上、天、天界の全て)を3歩で跨ぐ者)をテーマにした彫刻です。インド各地で見られるもので、体操選手のように足を上げたヴィシュヌの大きな一歩が表現されています。
《エローラ石窟第15窟 ⑥》【世界遺産】

石窟上部からナンディー堂のある中庭を見た様子です。

奥に広がるのは広大なデカン高原です。
《エローラ石窟第16窟 ①》【世界遺産】

33ある石窟群のほぼ中央に位置する第16窟は、圧倒的な規模と完成度の高さでエローラの象徴であると共に観光のハイライトとされているカイラーサナータ寺院(Kailasanatha Temple)です。
写真は正面入口に当たるゴープラム(塔門)部です。
《エローラ石窟第16窟 ②》【世界遺産】

ゴープラムを入るとナンディー堂があり、正面にはガジャ・ラクシュミ(ヴィシュヌの妻で美と幸運の女神ラクシュミーが象に水をかけてもらっている構図)の彫刻が刻まれています。
《エローラ石窟第16窟 ③》【世界遺産】

ナンディー堂の両脇には高さ約17mの記念塔スタンバ(sthambha)が立っています。
《エローラ石窟第16窟 ④》【世界遺産】

この大きな建物の手前半分が前殿、後ろ半分が本殿となります。
今までご紹介してきた第15窟までは(後にご紹介する17窟以降も含めて)、如何にも岩をくり抜いて掘ってきた石窟寺院という風貌ですが、第16窟は石を積み上げて建てた寺院に見えます。
しかし、この第16窟が本当に凄いのはこれでも石窟寺院ということです。
《エローラ石窟第16窟 ⑤》【世界遺産】

何を言っているのか意味不明に感じられるかもしれませんが、この寺院全体が一つの岩盤から掘られたり彫られたりしたものなのです。
それも前から掘ったのではなく上部から掘ったということで、8世紀中頃から9世紀にかけて約100年かけて岩山をひたすら掘り下げ、そのまま寺院や彫刻まで彫ってしまったという脅威的な遺跡なのです。
《エローラ石窟第16窟 ⑤》【世界遺産】

その構造も凄いですが、大きさも(敷地面積)アテネのパルテノン神殿の約2倍(幅47m、奥行き85m、高さ33m)というスケールのでかさです。
《エローラ石窟第16窟 ⑥》【世界遺産】

構造もスケールも凄いですが、構造物全面に彫られた精緻な彫刻類の嵐にも驚くしかありません。
《エローラ石窟第16窟 ⑦》【世界遺産】

基壇部分に彫られているのは宇宙を支える象と呼ばれる彫刻ですが、実際のところは彼らが支えているわけではなく、彫られているだけなわけです。
《エローラ石窟第16窟 ⑧》【世界遺産】

前殿の側面にはインドの古代叙事詩ラーマーヤナ(Ramayana)の繊細な彫刻も岩盤に直接彫られています。

因みに反対側にはマハーバーラタ(Mahabharata)も彫られているという念の入れようです。
《エローラ石窟第16窟 ⑨》【世界遺産】

スタンバ(記念柱)の細かい浮彫にも余念がありません。
《エローラ石窟第16窟 ⑩》【世界遺産】

岩壁の左側面に2層にわたって掘られた付属の石窟寺院ランケーシュワラ寺院(Lankeshvar Temple)も、出るところに出ればそれだけで十分な規模です。
《エローラ石窟第16窟 ⑪》【世界遺産】

カイラーサナータ寺院はシヴァ神を祀っているため、 建物や石窟内部にはシヴァ神関係の多くの彫刻が刻まれています。

写真は、リンガからおどり出て死神ヤマを倒すシヴァ神です。
《エローラ石窟第16窟 ⑫》【世界遺産】

こちらは、ナンディー堂の怒れるシヴァ神です。
《エローラ石窟第16窟 ⑬》【世界遺産】

本殿の奥にはシヴァ神の象徴であるリンガが安置されています。
《エローラ石窟第16窟 ⑭》【世界遺産】

ゴープラム横のバルコニーから見た左45度からの眺めです。
中央に立つのがスタンバ(2本あるうちの左側)、その右がナンディー堂、奥に前殿と本殿と続きます。
《エローラ石窟第16窟 ⑮》【世界遺産】

こちらは左45度からの眺めです。
《エローラ石窟第16窟 ⑯》【世界遺産】

第16窟観光で忘れてはいけないのが、周囲の岩山の上部からの眺めです。
左から、ゴープラム、ナンディー堂、前殿です。
奥にちらっと見えるのは、附属寺院のランケーシュワラ寺院になります。
《エローラ石窟第16窟 ⑰》【世界遺産】

これだけの構造物を上から掘って完成させたというのは正に他に類を見ない遺跡です。

掘削量(取り除かれた石の総量)は20万トンに及ぶそうです。
《エローラ石窟第16窟 ⑱》【世界遺産】

一番右が高さ33mの本殿です。
《エローラ石窟第16窟 ⑲》【世界遺産】

左後方からの眺めです。地表面からの高さは35mほどの高さになるので、高さだけ見ても10階建てのビルと同じくらいになります。
柵はないので、ちょっと油断すると吸い込まれそうになります。
《エローラ石窟第16窟 ⑳》【世界遺産】

ゴープラム脇からの眺めです。ゴープラムとナンディー堂、ナンディー堂と前殿のそれぞれの2階部分をを結ぶ渡り廊下があるのも秀逸です。
《エローラ石窟第17窟》【世界遺産】

第17窟はエローラのヒンドゥー寺院の中でも最も遅く開窟されたものの一つです。
《エローラ石窟第21窟 ①》【世界遺産】

一方、第21窟は、ラーメーシュワラ窟(Ramesvara)とも呼ばれる6世紀に掘られた石窟ですが、内部の彫刻はエローラのヒンドゥー石窟群の中でも最も優れたものと言われているそうです。
《エローラ石窟第21窟 ②》【世界遺産】

入口前にはナンディー像が中を向いて鎮座しています。
《エローラ石窟北部の様子》

27窟近くから見た29窟へ向かう道です。

ヒンドゥー教石窟最北の第29窟を越えると、第30から34窟までのジャイナ教石窟群までは1kmほどあるので、オートリクシャーでの移動がお薦めです。
《ジャイナ教石窟群》

ジャイナ教の5つの石窟はほぼ固まって存在しているので見学自体は容易です。

右から第32窟、第33窟、第34窟となっていて、第31窟はこの背後にあります。
第30窟だけ、右手に200mほど緩い坂を登ったところにあります。
《エローラ石窟第32窟 ①》【世界遺産】

ジャイナ教寺院群の中で最も充実しているのが第32窟です。
《エローラ石窟第32窟 ②》【世界遺産】

ジャイナ教には今の世界において24人のティールタンカラ(Tirthankara、日本語では祖師又は救済者)が出現したこととされていて、その祖師達が崇拝の対象となっています。

そのため、ジャイナ教寺院内にはそれらの祖師達の像が壁や柱に彫られており、そのほとんどが局部丸出しの素っ裸です。
《エローラ石窟第32窟 ③》【世界遺産】

中央に祀られているのは最後の祖師 にしてジャイナ教の開祖であるマハーヴィーラ(Mahavira)様です。
《エローラ石窟第32窟 ④》【世界遺産】

外部の壁にも細かい彫刻が施されています。
《エローラ石窟第32窟 ⑤》【世界遺産】

よく見るとやはりここにも局部丸出しの祖師様たちが何人も描かれています。
《エローラ石窟第32窟 ⑥》【世界遺産】

構造的にも少し手が込んでいます。
《エローラ石窟第32窟 ⑦》【世界遺産】

仏教窟やヒンドゥー教窟に比べて内部が豪華であり石柱のレリーフも彫が深く手が込んでいるのもジャイナ教窟の特徴だそうです。
《エローラ石窟第32窟 ⑧》【世界遺産】

柱の装飾も素晴らしいものがあります。
《まとめ》

アジャンタとエローラは規模も大きく見応えもあるので、最低でもそれぞれ1日は必要です。

ただ、観光の拠点となるアウランガーバードにはムンバイからはご覧のジェット・エアウエイズで片道1時間程度、デリーからだとエア・インディアで片道2時間程度でアクセスできますので、お気軽にご訪問下さい。


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